研究活動

当科では現在、ヤング・シンプソン(Young-Simpson)症候群やKabuki症候群をはじめとした様々な先天奇形症候群や染色体異常症などについて、その原因や自然歴の解明だけでなく疾患ごとの特徴を理解した日常医療管理や遺伝カウンセリングのあり方などについての研究に取り組んでいます。ここでは代表的な研究テーマをご紹介します。

ヤング・シンプソン症候群について

ヤング・シンプソン(Young-Simpson)症候群は、眼瞼裂狭小などの特徴的な顔貌、精神遅滞、甲状腺機能低下、内反足などの骨格異常、停留精巣、先天性心疾患などを呈するまれな先天異常症候群です。これまでも本症の診断・医療管理に深く関わってきた当科では、2010年度より厚生労働科学研究費補助金(難治性疾患克服研究事業)の支援を受け、「ヤング・シンプソン症候群の診断基準作成と実態把握に関する研究」と題し更にその研究を推し進めています。

染色体異常による遺伝性精神遅滞の病態解明

全出生中に占める先天異常の割合は約3~5%と言われ、なかでも染色体異常に起因するものは約0.7%と多いことが知られています。また、一般集団における精神遅滞の頻度も約2~3%と言われ、中等度以上の精神遅滞に限れば、原因で最も大きい割合を示すのは染色体異常です。当科では、そうした染色体異常に起因する精神遅滞・先天性多発形態異常の診断に自施設でのG分染法やFISH法などといった細胞遺伝学的検査を行うことに加え、MLPA法やarray CGH法などの分子遺伝学的な臨床研究も応用して積極的に取り組んでいます。(当施設は日本人類遺伝学会の「臨床遺伝専門医制度による研修施設」および「臨床細胞遺伝学認定士制度による研修施設」に認定されています。)

染色体異常症の病態把握と医療管理

当科では染色体異常症の診断のみならず、それぞれの染色体異常症の特徴に基づいた“見通しをもっての日常医療管理”を他の診療科と連携しながらすすめています。

先天異常症候群の診断および自然歴の解明

様々な先天異常症候群の“見通しをもっての日常医療管理”に不可欠な「自然歴」の調査・解明に当科では取り組んでいます。(以下、代表的な疾患)

先天性大脳白質形成不全症の診断と遺伝カウンセリング

先天性大脳白質形成不全症のひとつであるPelizaeus-Merzbacher(ペリツェウス・メルツバッハー)病はX連鎖劣性遺伝病で、正確な遺伝学的診断に基づいた遺伝カウンセリングが不可欠な疾患です。神経内科、遺伝科、認定遺伝カウンセラーからなる専門診療チームによる対応とともに、原因となる遺伝子変異の多様性や遺伝カウンセリングのあり方について研究を進めています。

神奈川県における人口ベース先天異常モニタリングに関する研究

この研究は、厚生省(旧)の研究事業(「先天異常モニタリングに関する研究、1981-1985」および「先天異常モニタリングシステムに関する研究、1986-1988」)として発足し、その基礎が築かれ、1989年からは神奈川県の事業(新生児特別地域保健事業)として引き継がれた人口ベース先天異常モニタリングとしてわが国唯一の大規模調査です。県内出生約100万例に基づいた先天異常に関する継続的な情報収集と解析を行い、奇形発生要因の監視を行ってきました。神奈川県産婦人科医会の協力の下で行われ、非常に多くの知見が得られています。当科はこの事業の集計事務局として解析研究に取り組んでいます。

原因不明の先天性多発形態異常・精神遅滞例の原因および病態の解明

一般集団において一定の発生頻度を呈する多発奇形・精神遅滞例の多くは、現在の科学をもってしてもその原因・病態が不明で、医学上の大きな課題となっています。私たちはその原因・病態を明らかにし、得られた知見を患者および患者家族に還元することを目標に、ゲノム科学の臨床応用に取り組んでいます。

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